遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)について

 

文部科学省ライフサイエンス課

 

ABSとは

生物多様性条約(CBD199312月発効)に、遺伝資源保有国とその保有する遺伝資源を利用して利益を得る国との間の利害調整を図るため、「遺伝資源の利用から生じる利益の公つ衡な配分(Access to genetic resources and Benefit-SharingABS)(CBD条約115)という考え方を導入したもの。

角丸四角形: <目 的>
遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(CBD条約1条、15条)

<基本的な枠組み>
①必要な情報を事前に知らせた上で、遺伝資源提供国からアクセスの同意を得ること。
②相互に合意する条件によって、遺伝資源利用(研究開発、商品化など)から生ずる利益を公正かつ衡平に配分すること。
③各国とも、資源提供国、資源利用国の双方の立場になり得る。先進国(日本、EUなど)は主として資源利用国の立場となることから、遺伝資源への適切なアクセスを確保することが重要。また、資源提供国の立場としては、貴重な遺伝資源(財産)を適切に確保する必要。

 

(Genetic Resource)とは(CBD条約第2)

·       遺伝素材」とは、遺伝の機能的な単位を有する植物、動物、微生物その他に由来する素材をいう。

·       遺伝資源」とは、現実の又は潜在的な価値を有する遺伝素材をいう。

 

名古屋議定書締結までの流れ

·       CBD条約に基づくABSの考え方や具体的方法を示すために2002年4月に「ボン・ガイドライン」を採択。
ABSに関する国際的なルールを適正に実施するための措置として、2010年10月に「名古屋議定書」(議定書)を採択。2014年10月に発効。
日本は2017年5月22日に議定書の受諾書を国連事務局に寄託した。また、議定書の的確かつ円滑な実施を確保するため、2017年5月18日に「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針」(ABS指針)が公布された。 2017年8月20日から議定書及びABS指針の効力が発する。

大学等における体制整備について

·       議定書締結に伴い、文部科学省では、「研究機関等における遺伝資源の取扱いについて(通知)」(平成29年5月18日・29振ライ第6号)で、大学等における遺伝資源の取扱いが適切に行われるよう、特に留意すべき事項を下記のとおり示している。

1.担当部署・担当者の明確化

 大学等に所属する研究者が相談できる環境整備として、海外の遺伝資源の取扱いに関する担当部署・担当者を明確にすること。

2.現状把握

 大学等における体制構築に当たっては、機関内における海外の遺伝資源の利用状況を把握すること。

3.機関内プロセス及びルール作り

 海外の遺伝資源を適法に取得及び利用する手続きを行うために、機関内における遺伝資源の取得及び利用のプロセス及びルールを整備すること。

4.機関内周知

 遺伝資源の取得及び利用に関わる研究者及び事務職員に対し、条約及び指針の遵守を目的として啓発活動等を実施すること。

ABSの基本的な枠組み

·       必要な情報を事前に知らせた上で、遺伝資源提供国からアクセス(利用)の同意(事前同意、Prior Informed Consent; PIC)を得る必要がある。

·       相互に同意する条件によって、遺伝資源利用(研究開発、商品化)から生ずる利益を公正かつ衡平に配分 (Benefit-Sharing)(CBD条約第15)することが必要になり、交渉が合意した場合、遺伝資源利用者と提供者は相互合意契約(Mutually Agreement Terms; MAT)と素材移転契約(MTA Material Transfer Agreement)を締約し、利用者は提供者から遺伝資源を提供される。

·       議定書締約国である遺伝資源提供国は、PIC及びMATの手続完了を情報交換センターに報告する(議定書第6条)。
また、議定書締約国である遺伝資源利用国は利用者へのモニタリングを行うとともに、適宜情報交換センターへの情報提供を行う(議定書第17条)。

·       利用者は国際遵守証明書(IRCC)が情報交換センターに掲載された日から6月以内に環境大臣への報告を行う(ABS指針第2章第1)。
また、環境大臣は、利用者に対し、報告を受けた日から概ね5年後に遺伝資源の利用に関連する情報の提供を求める(ABS指針第2章第5)。

※ABS指針の適用範囲に関係なく、遺伝資源を取得する際は、遺伝資源提供国の法令を遵守する必要がある。

 

 

※アクセスと利益配分に関わるリンク集

生物多様性条約事務局>

生物多様性条約事務局ホームページ

Access and Benefit-sharing

About the Nagoya Protocol

The Access and Benefit-Sharing Clearing-House

Thirteenth meeting of the Conference of the Parties (COP 13)

日本におけるCBD条約・ABSについての概要>

生物多様性情報システム(環境省)

生物多様性関連の法律・条約

クリアリングハウスカニズム

環境省「生物多様性ホーム」

 

ABS特設ページ(環境省)

名古屋議定書について

我が国の国内措置について

諸外国の制度

大学等向けABS支援・相談窓口>

ABS学術対策チーム

名古屋議定書に関する大学等における体制構築ハンドブック

その他>

(一財)バイオインダストリー協会(Japan Bio-industry Association; JBA)

生物資源のアクセスと利益配分

海外生物遺伝資源の利用促進のための総合窓口(農水省)